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京都国立近代美術館

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京都国立近代美術館ができたのは私が高校生くらいの頃だっただろうか。20年以上前のことだと思う。この辺りはコンサートや舞台がよく行われる京都会館や市立美術館、動物園、図書館そして平安神宮と京都の一大文化ゾーンとなっており、京都に育てば何かにつけ足を運ぶことになる地域だ。向かいに建つ市立美術館は帝冠様式の建物で、いかにも居丈高な感じがした。芸術を見ることはただでさえ気取って難解な気がするのに、こんな権威的な建物の中にあれば尚のこと近づきにくい存在となった。当時の私は美術館に対してそういうイメージしか持っていなかったから、新しいなんだか軽やかなこの美術館ができたことは画期的な出来事だった。

設計は槙文彦。外観はガラスと金属の正方形パネルで覆われた直方体で結構地味な印象。四隅にガラスの階段室。4階に展望用と思われる窓が大きく四枚開かれているのがわかる。それ以外は白っぽいパネルに覆われていて、あたかも『ホワイトキューブ』の概念を体現しているかのようである。京都岡崎と言う土地柄を考えるとこの控えめな佇まいが丁度いいような気もする。

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中へ入ると3Fまで吹き抜けのエントランスホールに出る。右にショップ、左にカフェ。このカフェの窓が釣鐘のモチーフになって京都らしさを演出する。実はこの美術館の魅力は、所々に垣間見える『京都らしさ』にあると私は思っている。

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3Fの企画展示を見終えると前出の階段室へと出る。このガラスには和紙のようなものが入っており、日本家屋の障子のようにぼーっとした光を送り込みつつも視界を阻む。ところどころに和紙の目隠しが消える箇所があり、そこから疎水や朱塗りの橋や京都の山々が見える。それは一服の絵のように風景を切り取る。京都に生まれ育った私には馴染みの風景なのに、その風情に一瞬見入ってしまう。

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階段室、朱塗りの橋が見える。

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階段室、障子のように日光をぼんやりした光に変える。

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階段を上がって4Fの常設展示室へ向かうと大きな窓のあるロビーに出る。ここでもう一度ハッとさせられる。平安神宮の鳥居が目の前にドーンと聳えているのだ。鳥居なんて珍しくもなんともないのだが、この高さからこんなに真近に見ることなんて滅多にない。先ほどの階段室もそうなのだが、普段見慣れているものもいつもと違う角度で違う高さで見ることによって、こうも新鮮に見えるものなのかと驚いた。美術館は展示品だけを見るのではなくて建物も楽しめるものなのだ、建築って綺麗なものなんだと初めて気づいたのがこの美術館だった。

京都に観光で来られた方がわざわざ美術館に立ち寄られるかどうかはわからない。時間が許せば是非とも立ち寄ってお茶でも飲んでいって欲しい。疎水に落ちる桜の花びらや柳の新緑、秋には赤や黄色に色づく山並み-この美術館が切り取ってみせる京都の四季の折々を、感じて帰って欲しいと京都人として思うから。

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元来は現在の襖も含めて障子(さえぎるものの意)と言った。平安時代に「明かり障子」として襖から分離した。扉を閉じたまま採光できるという機能により広く使われるようになった。ガラスやカーテンが普及するようになって使用は減ったものの、ガラス併用の障子なども作られ消滅することはなかった。一部がガラスになっていて障子部分が開け閉めできるものを雪見障子という。... [続きを読む]

受信: 2007年10月29日 (月) 13時07分

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