チェコ国立銀行
火薬塔が市壁の一部であったことは前回も書いたが、取り壊された市壁はその周りを囲んでいた濠を埋めるのに使用された。1760年のことである。火薬塔からヴァーツラフ広場を繋ぐナ・プシコピェ通り(お濠の上通り)がそれで、今ではプラハ随一のビジネス街となっている。そのナ・プシコピェ通り20番にポリーフカ1896年の作品であるチェコ国立銀行がある。ネオ・ルネサンス様式で軒下の装飾が美しいが、自己主張の少ないその建物は街並みに溶け込んでともすれば通り過ぎてしまいそうになる。過度に装飾的なポリーフカも初期にはこのよな落ち着いたデザインのものを手掛けていたのだと興味深く思った。
軒蛇腹に半円形の装飾を並べる伝統的なデザイン
繊細な草花文様はよく見ると絵ではなく漆喰装飾だった。手が込んでいる。モザイクはチェコの自然や伝説をテーマにしたミクラーシュ・アレの下絵をもとにしてつくられた。
銀行の入口。赤いテレジア時代の番地と青いチェコ・スロバキアになってからの番地が左右についている。
要石のレリーフ
この銀行は内部が非常に美しい。上の写真の小さな扉を入ると大きな階段ホールに出る。その階段を上がった先が銀行窓口のある部屋なのだが、この階段室の天井が品よく美しい。イタリアのバロックの宮殿を彷彿とするような本格派古典建築の風情である。優雅な階段を登りきり銀行窓口のある部屋へ入るとそこはガラス天井のアールヌーヴォー的空間が広がっている。銀行なので写真撮影はできないが、両替ついでに見学をすることは可能。好みはあるが抑制のきいたデザインのこの銀行は、いくつか見たポリーフカの作品の中で私は1番好きな作品である。
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