ミコノスの教会
二度目のミコノス島は飛行機で到着した。旅の連れが窓の外を見て「可愛い!」と声を上げる。何かと思えばミコノス特有のトンネルヴォールトを持つ小さな教会が島のあちこちに建っているのが見えた。「可愛いけど、異常に多過ぎない?」と素朴な疑問を口にする。そういえば、昔私もそう思ったなと思い出した。
政府観光局のHPによるとミコノス島は僅かに85k㎡。その小さな島に300以上の教会があるという。見渡したところ視界に教会が入らない場所がない、というか視界の中に幾つも教会が入っていると言う感じだ。少し調べてみたところ、ミコノスには大きく3つの種類の教会があり、一つはファミリーの礼拝堂、二つ目は司祭のいる教区教会、三つ目は神々に捧げられた教会、なのだそうだ。多すぎると思ったのは、各家族ごとに教会があるからで、ミコノスには現在265のファミリーがあるというから当然の結果だった。
このような蒲鉾型の屋根の教会がミコノスにはたくさんある。
家族の礼拝堂にはイコンや蝋燭台が置かれ、祖先の骨が床や壁に埋められている。収容しきれなくなると上の写真のように新しい礼拝堂が増設される。墓地のような意味合いがあるため、、血縁者を引き寄せる役割を果たしている。家族所有の礼拝堂なので勿論管理はその家族が行なう。300強の教会に265の家族なので、ミコノスの教会の殆どがこの家族の礼拝堂に該当する。
トンネルヴォールトが二つ並ぶ。
ミコノスで最も有名なパラポルティアニ教会。昔、要塞の裏門(パラポルティ)のあったところに建てられたためこの名で呼ばれているらしい。だからこんな海ギリギリの町の外れにあるのかと妙に納得。意外なことに、この教会も家族の礼拝堂なのだそうだ。非常に有機的なフォルムが特徴的で、5つの礼拝堂が集合したものとのこと。ル・コルビュジェのロンシャン教会堂はこの教会に影響を受けたと言われている。
パラポルティアニ教会の裏はミコノスの教会の典型的な形をしている。
これも家族の礼拝堂。基壇の上に建てられており階段で上がるようになっているところを見ると、比較的新しいものなのだろうか。街中の古いものは床の高さが道路よりも低い場合が多い。
教区教会というのがどれのことだったのか、全くわからない。メインストリート沿いにあるヴォールト屋根の規模の大きい教会とのことだが、ミコノスはどこも道が狭くてどこがメインストリートなのだか・・・。上の教会など少し大きくて広い通りに面していたような?教区教会では、先礼式・結婚式・葬式といった通過儀礼や日曜のミサが行なわれるのだそうだ。
港のすぐそばにあるアギオス・ニコラス。ギリシャ正教とともにギリシャ神話の神々が生きていると言われるミコノス、この教会で祭られているのは船乗りの神様セント・ニコラス、ギリシャ神話で言えば海神ポセイドンだそうだ。屋根の色もミコノスには珍しく青色(サントリーニ島のイメージでエーゲ海の島の教会は青い屋根と思われがちだが、ミコノスは赤が普通)。もとはミコノスらしいトンネルヴォールトの教会だったが、1932年の港の整備の折に交差ヴォールトの上にドームが乗る現在の形に建て直された。あまりにも海の近くにあるその立地に驚くが、当初は海上に建っていたらしい。
ドームの天井には星が描かれている。船から見る空と同じ?
こちらも交差ヴォールトの上にドームの教会。
レストランの多いヴェネティア地区の教会。中心式プランで可愛い。
ドームを上から見る。
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コメント
とても魅力的な記事でした。
また遊びに来ます!!
投稿: 株の投資 | 2014年2月 4日 (火) 12時15分