ミレニアム ブリッジ
2000年、イギリスでは来るべき21世紀を記念して様々な都市開発が行なわれた。1894年のタワーブリッジ以来約1世紀ぶりにテムズ川に架けられたこのミレニアムブリッジも、そうしたミレニアムプロジェクトの一つである。ドームやロンドンアイに並ぶプロジェクトの目玉となるもので期待も大きかったようだ。
ミレニアム ブリッジはノーマン・フォスター、アンソニー・カロ、アラップ社の共同設計。2000年6月10日に竣工したが、横揺れが酷く振幅が7cmにも達したため危険として3日後には閉鎖されてしまった。ドームは企画が悪かったのか人気を得られず、ロンドンアイもトラブル続きであっただけに、イギリスでは大変な騒ぎになったらしい。日本でもニュースで報じられたので、私も何となくは知っていた。
原因は横方向への剛性が低すぎる設計だったためということらしい。人が歩くことにより発生するほんの少しの横方向の力が、大勢の人が同時に歩くことにより橋に多少の横揺れを起こす。橋の横揺れと人々の歩調が同期し共振することにより、設計者の想定以上の大きな横揺れが発生したようだ。原因の究明と対策に約二年を要し、2002年2月に再開通した。
ミレニアムブリッジは北のセント・ポール大聖堂、南のテートモダンと新旧のランドマークを繋いでいる。意外にアクセスの悪かったテートモダンがこの橋によってとても便利になった。橋の上から東にタワーブリッジも見え、ただ散歩するのも楽しい。
歩行者・自転車専用の橋ということもあって、橋へのアプローチはは両岸ともスロープになっている。車椅子でも楽に渡れるバリアフリー設計。
橋は浅いサスペンション構造。二つのY字型の橋桁が支えている。ノーマン・フォスターによるこの橋のコンセプトは「優雅な剣・光の翼」とのこと。シャープで軽く透明性の高いデザインで、歩行者のテムズ川への視界を上下に妨げないよう配慮されている。
余談ながら、セント・ポール大聖堂のあるシティの紋章は、セント・ジョージの十字架にセント・ポールの剣を組み合わせたデザインの盾をグリフィンが支えるというもの。もしかすると「優雅な剣・光の翼」というコンセプトは、このセント・ポールの剣とグリフィンの翼に因んだものなのかなぁと・・・。テムズ川の上がシティと言えるかどうかは知らないけど。
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