資料館

2007年8月 4日 (土)

那須歴史探訪館

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栃木県芦野、石の美術館のすぐ近くの高台に同じく隈研吾設計の那須歴史探訪館がある。おそらくお寺であろう古い建物に増改築を行って資料館としたようで、かつての表門が裏となっている。街道から発展した那須の歴史をVTRや展示品で見せるこじんまりとした歴史資料館である。

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資料館のエントランス。でも実はここからは入れない。この資料館、入口が少しわかりにくい。建物に入ろうとして奥に進むとそのまま、かつての表門に出てしまい、裏庭へと自然に案内されてしまうのだ(1番上の写真)。庭の竹の風情や庭の奥にある展望台からの芦野の眺めを楽しんでから資料館へ入れるようにとの建築家のちょっとした企みだ。実際の入り口は表門をもう一度くぐってすぐのところに、小さな和紙を貼った引き戸があり、そこから静かに入る。

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受付から外を眺める。このあたりでは石の蔵が殆どで白壁の蔵は珍しい。

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この資料館は馬頭広重美術館にそっくりだ。違うのは、天井やガラス壁を覆うのが藁和紙という平面的な素材を使っているところ。

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平面を使っていても、透ける素材で建物に「軽さ」を求めるのは同じ。

先にも書いたが、この資料館は馬頭広重美術館を小さくしたような建物だ。そちらの完成度が高いだけに、少し残念だ。展示内容もかなりサビシイので、私としてはあまりオススメできない・・・。

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2007年6月26日 (火)

大谷資料館

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この日同じ会社に勤める社員のオススメスポット大谷資料館へ行くことにした。大谷資料館は大谷の歴史と大谷石についての小さな展示室と旧地下石切り場の大空間からなる。なのでJR宇都宮からバスで約30分となかなか不便なところにあるのも無理はない。

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資料館の駐車場。あのクセのある緑色の石がどーんと聳えている様は圧巻。

そもそも大谷石というのはこの地域で産出される緑色凝灰岩のことで、国内の他地域で産出される緑色凝灰岩の代名詞ともなっている。耐火性に優れ、重量が軽く、柔らかいため加工がしやすい。そして何よりも温かみと柔らか味を感じさせる表面の風合いが、建築材料としての大谷石の魅力と言われている。フランク・ロイド・ライトが好んで使っており、帝国ホテルやヨドコウ迎賓館でもおなじみだ。私としてはこの色がちょとクセがあって、ライトのように他の素材と組みあわせての使用はあまり好きではないが、そこは好みの問題だから仕方がない。

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この資料館の最大の見所はやはり地下の採石場跡である。階段を下りていくと急に空気がひんやりしてくる。年間平均気温8度、私が行った5月で7度、寒い・・・。この温度を利用して、過去は貯蔵庫として利用されたこともあるそうだ。

階段を降りた先には薄暗い大空間が広がる。垂直に切りとられた岩肌は何とも厳かで神々しい。会社の人の言葉を借りると「こんな空間が世の中に存在したなんて、地球って凄いなぁ。」以前、シチリアの石切り場を見に行ったことがあってそれは外からしか見られなかったのだが、その時も凄いと思ったけれど、地下の中から見る石切り場というのはスケールの感じ方が違うというか、地球の体内に抱かれているような感じがしてともかく凄いなぁと思った。

この空間は見学できるだけでなく、コンサートや各種イベント会場としても利用されている。最近は結婚式場としても人気があるそうだ。ウェディングドレスには寒いような気もするが、ある種ロマネスクの修道院にも似た厳かな空間でのお式はいい感じかもしれない。(修道院に似ているのではストイック過ぎか・・・。)

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2007年4月15日 (日)

姫路文学館

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姫路城の前の通りを西へ5分も歩くと先ほどの喧騒が嘘のように静かになります。この姫路文学館は、姫路城のある姫山と対になっている男山という小高い山の麓に位置し、そのアプローチは姫路城からまっすぐに入るのではなく、一旦民家を迂回して180度方向転換してから入るようになっています。文学館を少し通り過ぎることになるので、道間違えたかなぁ、時間損したかなぁ、などと思いながら急ぎ足で入り口へ向かうのですが、ふと顔を上げると道の向こうにどーんと姫路城が見えるのです。ア、ヤラレタ・・・。

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手前側に建っているのが南館。先にできた北館との対比で、こちらはガラスと鉄でできています。浅い水盤にガラスの箱が浮かんでいるようで、涼やかです。

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こんなところで、1日ぼんやり本を読んで過ごしてみたいものです。

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上の写真を中から見たところ。館内の撮影禁止と書かれているので、受付の方に展示室以外も撮影禁止かきいたところ、事務所に届け出れば展示室の撮影も可能とのことでした。氏名と連絡先を記入すると撮影許可の腕章がもらえます。

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随所に光を入れる工夫が見られます。

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「光と、それを受け止める壁、それを考えるだけで建築がつくれることを確信した」安藤忠雄の言葉です。改めて建築とはなんだろうと考えさせられます。

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北館は、高さの違う二つの立方体が相互に貫入し、その立方体の周囲を円形で囲むというデザインになっています。上から見ないと良くわからないですね。

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二つの立方体が重なるところ

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内部の展示室、外部の立方体のデザインがそのまま取り込まれてグリッド状の壁面を形成しています。

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螺旋状の緩やかなスロープを上りながら、展示室を巡ります。

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暗い展示室を出て再び外へ。文学館の敷地内には大正時代の建物があり、この既存の木造建築を残しながら地元の哲学者、文学者の資料館を増築するというのが、もともとこのプロジェクトだったらしいです。安藤の文学館とは、カスケイド挟んで新旧の対比を成しています。迎賓館にするという話だったようですが、使われているのでしょうか。

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