プラハ標識めぐり
京都の住所はこんな風に番地を入れないケースが多い。東京の会社に電話で住所を伝えると、時々ではあるが「これで郵送して届きますか」と不安そうに確認されることがある。京都は町が碁盤の目になっているので、○○通りと○○通りの間を西へといった表現で大体のところはわかるようになっている。いたって合理的な住所なのである。古い歴史のある町は多かれ少なかれこのような場所を表わす工夫があるのではないかと思うが、プラハでは扉の上や壁に掲げられているレリーフや彫像が住所代わりに使われていたそうだ。標識のモチーフには別段の決まりはなく、ライオンや熊のような動物であったり、イエスや聖母のような宗教的なもの、その家の職業を表わすようなもの等思い思いのものが使われている。何とか通りの「二つの尻尾を持つライオンの家」とか「三本の赤い薔薇の家」とか言われていたのを想像すると何だか可愛らしい。時におとぎの国のようなと例えられるプラハにはぴったりである。
ネルドヴァ通り12番「3挺のバイオリン」 4代まで確認されているバイオリン職人の家で、この標識が作られたのは3代目のとき。
ネルドヴァ通り16番「黄金の杯」
プラハに正式な住所がもたらされたのは、マリア・テレジア帝政の頃。区画割を行いその中でヴルタヴァ川に沿って番号が振られその番号が赤いプレートで示された。次にチャコ・スロバキアになり新しく振りなおされた番号が青いプレートで表示されるようになる。青いプレートしかない家は比較的新しい家、赤いプレートもついていればマリア・テレジアの時代にまで遡れる家、その上標識までついていれば物凄く古い家と言うことになる。古い町並みを残すプラハでは今でもこういった標識を多く見ることができる。その標識の由来を想像しながらあてもなく散策するのも楽しい。
ネルドヴァ通り「黄金のメデュウサ」 メデュウサの首や目は多くの国で魔よけとしてよく使用されている。
ネルドヴァ通り47番「黄金の二つの太陽」
ウーヴォス通り14番「3つのハート」
ツェレトナー通り8番「黒い太陽」
「黄金の聖母子」
カルロヴァ通り18番「黄金の蛇」
カルロヴァ通り「太陽の聖母子」
ウーヴォス22番「天秤を手にする幼子」
カルロヴァ通り22番「黄金の井戸の娘」
この少女はチェコの伝説のリブシェ王女とする説と、この館の前にあった井戸に落ちた少女であるとする説がある。昔この井戸の前に住んでいた少女が水を汲もうとして誤って井戸に落ち、父親が娘の遺体を引き上げた折に井戸の中から沢山の金貨が見つかった。父親は大金持ちになり立派な館を建てたが、それ以来亡くなった娘が毎晩枕元で「私のおかげでお金持ちになったのに墓もたててくれない」とすすり泣くようになった。困った父親はバルコニーに娘の像を作り供養したところ娘はぱったりと出てこなくなったということである。たおやかで高貴な印象の少女の像は井戸に水を汲み来そうには見えないが、果たしてどちらの説が本当なのか。
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