オランジュリー美術館
2006年に待望のリニューアルオープンが行われ、今はまだピカピカのオランジュリー美術館。何故こんなおいしそうな名前がついているのか不思議だったのだが、もともとオレンジの温室だった建物を美術館にしたかららしい。重厚な古典様式のファサードを持つ建物がまさか温室だったとは・・・こういうところがヨーロッパは凄いなと思う。それはさておき、今回のリニューアルの目的はヴァルテール・ギョームコレクションが加わった折に地下に降ろしてしまったモネの睡蓮室を1階に戻し、モネとの約束通り自然光の中で『睡蓮』を鑑賞できるようにすることだった。室内に太陽の光が満ち溢れた、オランジュリーが最もオランジュリーらしかった時代に帰ろうということらしい。このリニューアルにより、日本の地中美術館は、『睡蓮』を自然光の中で見られる世界唯一の美術館ではなくなってしまった。
オランジュリーは世界で最初のサイトスペシフィックな美術館と言われている。モネが『睡蓮』を寄贈する条件として、一つは自然光の中におくこと、もう一つはオーバルな形の部屋に展示することを要求した。見る人があたかも水中にいるかのような気分で刻々と移り行く光がもたらす『睡蓮』の変化を楽しめるような空間を作りたいという意図からであった。今から20年程前初めてここを訪れたときの感動は今でもはっきりと思い出せる。それまでにも『睡蓮』は他の美術館や展覧会で何度も見たことがあったが、正直何がそんなにいいのか全く分らなかったのだ。
当時モネの睡蓮室は地下にあった。決して広いとは言えない1階の展示を見た後、表示に従って階段を下りる。降りるにつれて徐々に下の方から『睡蓮』の青い画面が視界に広がっていく。それは、広がるというよりも水面が競りあがって最後には水槽の中にすっぽりと包み込まれてしまうような感覚と言った方が近いかもしれない。階下につくと緩やかなカーブを描いた『睡蓮』が迎えてくれる。そのRのせいなのか壁を覆う4枚の絵がとても生き生きと躍動感を持って感じられたのを覚えている。このとき初めてモネの『睡蓮』とはこう言うものだったのかと納得したのだった。
睡蓮室へ向かう通路
残念ながら(失礼ながら・・・)、リニューアル後モネの睡蓮室は1階に移ってしまい、入口からすんなりと入るようになってしまった。たとえが悪いかとは思うが、ダン・ブラウンの小説のようにタメがなく、物足りなさを感じてしまう(ファンの方すみません。好みの問題です)。私は以前のオランジュリーの方が良かったと思う。モネとの約束は果たせないけれど。
睡蓮室の様子。入場制限されるので人はそう多くはない。
カルトミュゼを持っていると切符を買う列とは別にしてもらえるので、早く入れる。
これがモネの『睡蓮』だ!過去二回見たときよりも、色がくすんで見えたのは気のせい?もしかして壁が新しくて真っ白だったからかな?
オランジュリーは『睡蓮』だけではなく、質の高いコレクションで有名である。ルノワールやローランサン、ユトリロと誰でも知っているような有名画家の作品が多数揃っており、しかもルーブルやオルセーのように広すぎてうんざりするといったこともない程よい広さである。私のように、別段美術が好きなわけではないけどせっかくパリに来たしね、という人にはぴったりの美術館である。
地下の様子。コンクリートの打ちっぱなしに、ほっそりとしたフライング・バットレス。同じ材料を使っても、地震のない国の建築は日本のものとは少し違う。
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